SSブログ

ストリート・オブ・クロコダイル / ティム・クエイ, スティーブ・クエイ監督 (1988) [感想文:映画]


Brothers Quay: Shorts

 手元のVHSテープの発売元はダゲレオ出版(1990年)となっていて、次の5つの短篇が収録されている。

「レオシュ・ヤナーチェク」 '83/27分
「ヤン・シュヴァンクマイヤーの部屋」 '84/14分
「ギルガメシュ/小さなほうき」 '85/11分
「ストリート・オブ・クロコダイル」 '86/22分
「失われた解剖模型のリハーサル」 '88/15分

いずれも極北で輝く一群の星座のような作品ばかりだが、なかでも白眉は「ストリート・オブ・クロコダイル」の一篇だろう。以下には、その「ストリート・オブ・クロコダイル」について書く。

続きを読む


nice!(4)  コメント(9)  トラックバック(1) 
共通テーマ:映画

善き人のためのソナタ / フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督(2006) [感想文:映画]


善き人のためのソナタ スタンダード・エディション

 クリスタ=マリア・ジーラント(マルティナ・ゲデック)は東ドイツの女優だった。舞台となる1984年、ベルリンの壁はまだ崩壊していない。東ドイツは、社会主義の政治体制であり、国家保安省(シュタージ)と呼ばれる秘密警察機関を抱え、国民を監視し、反体制分子を弾圧する独裁政権国家であった。

続きを読む


nice!(2)  コメント(5)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

忘れじの面影 / マックス・オフュルス監督 (1948) [感想文:映画]

 1900年のウィーン、冷たい雨降りしきる明け方近く、決闘を眼前に控えたステファン・ブランド(ルイ・ジュールダン)の手に、見知らぬ女性からの手紙が渡される。そこには、ステファンを恋い慕い、人知れず彼の子を生み、ついには死にゆこうとしている女性の告白が綴られていた。

続きを読む


nice!(4)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

明るい瞳 / ジェローム・ボネル監督 (2005) [感想文:映画]

明るい瞳


 コバコ。何気ない雑貨屋で見つけた小箱のような映画。丁寧な作りで、さっぱりと優しい。"凝った" というと何かが失われてしまいそうだが、色合いといい、模様といい、心配りに触ることができる気がする。キラキラした飾りこそ無いけれども、ああ、ここまでこんな風に細工してあるんだ、と感心するような、そんな小箱の感じがする映画。

続きを読む


nice!(4)  コメント(9)  トラックバック(1) 
共通テーマ:映画

ローズマリーの赤ちゃん / ロマン・ポランスキー監督(1968) [感想文:映画]


ローズマリーの赤ちゃん

 見事にコントロールされたサスペンス・スリラー。その構成は、緻密というよりは流れるようである。ひと度その流れに足を踏み入れた観客は、はりめぐらされたサスペンスの糸をたどり、自ら恐怖の渦の中心へと巻き込まれていく。その恐怖の正体は何か。

続きを読む


nice!(2)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

レイクサイド マーダーケース / 青山真治監督(2004) [感想文:映画]


レイクサイド マーダーケース

 煙草の吸殻が消えるシークェンスがある。これをどう捉えるか。コンティニュイティーの綻びと見るか、意図的と見るか。
そのシークェンスとは、こうだ。夜更け、高階英理子(眞野裕子)の死体を隠滅するため、藤間(柄本明)、並木(役所広司)、関谷(鶴見辰吾)の三人は湖にやって来る。死体の指紋を焼き、顔を潰してから、藤間と並木はボートで英理子の死体を湖に沈める。その間、関谷は見張りを兼ねて、乗ってきた自動車の側で二人を待つ。肩をすぼめて待つ関谷が映される。ボートが戻り、関谷が迎えに行くと、低いアングルで、車のタイヤと関谷が吸ったと思しき煙草の吸殻が映る。ボートを岸に上げるシーン、そして戻ってくる三人が同じアングルでタイヤの側からとらえられるが、そこには、ついさっき映った吸殻が無いのである。これを、コンティニュイティーを作り損ねたと見るか、意図的に構成されたシークェンスと見るか。未だに自信を持てないが、とりあえず以下は、吸殻の消失を意図的なものとした視点からの解釈だ。

続きを読む


nice!(1)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

アズールとアスマール / ミッシェル・オスロ監督(2006) [感想文:映画]


アズールとアスマール

 映画に何を返せばいいでしょう。画面から溢れて、押し寄せてくるものに、贈り物への返礼という意味で、何をもってお返しすればいいのでしょう。千八百円では、何か迂遠過ぎるような気がします。他人に勧めて観客を増やしたところで、的外れな事をやっているようです。レヴューを書いても、己の稚拙さのために、さらに霧を深めるばかり。ただ、スクリーンだけが輝き、何かが増え続けて閾を越え、押し寄せ、渦巻くのです。

続きを読む


nice!(3)  トラックバック(1) 
共通テーマ:映画

トランスフォーマー / マイケル・ベイ監督(2007) [感想文:映画]


トランスフォーマー スペシャル・コレクターズ・エディション

トランスフォーマーの感想を書くつもりだったんだけど...

題して「トランスファーマー2.0」

続きを読む


nice!(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

ショーン・オブ・ザ・デッド / エドガー・ライト監督(2004) [感想文:映画]


ショーン・オブ・ザ・デッド [ユニバーサル・セレクション] (初回生産限定)

 映画の「へ」のシーンは難しいと思う。まず、「へ」はおよそ突発的なので、伏線がうまく張られてないと理解できない。(「へ」を理解する?)次に、あの音、千変万化のあの調べがだいたい再現されない。そして臭いは、当然の事ながら、それを嗅いだ俳優の演技によって間接的に描写されるので、その臭いの質にまで到達することが殆ど不可能だ。そのため、「へ」が凡庸な監督の手にかかると、片尻あげたところへ「ぶ」という音がかぶさる、という身も蓋もない無残なシーンになってしまう。いや、「へ」の身があっては大変なのだが。では、「へ」の撮り方が見事な監督は非凡なのか。少なくともへー凡ではないかもしれんが、わからん。そのくらい「へ」は難しいと思う。

続きを読む


nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

きいてほしいの、あたしのこと ウィン・ディキシーのいた夏 / ウェイン・ワン監督(2005) [感想文:映画]


きいてほしいの、あたしのこと ウィン・ディキシーのいた夏

 スクリーンに犬が映ると、飛んでいって抱きしめたくなる。スクリーンの中に入ってしまいたい。特別な犬好きではないが、この映画に登場する犬ウィン・ディキシーを見ていても、同じ事を思った。犬の種類は、ピカデリー・シェパードだそうである。

 その犬と10歳の少女オパール(アンナソフィア・ロブ)の、夏の物語。オパールに母親はいない。オパールが3歳のとき、夫と娘をおいて、家を出て行ってしまったのだ。牧師である父(ジェフ・ダニエルズ)に従って、フロリダのナオミという小さな町に引っ越してきたオパールは、野良犬を拾い、ウィン・ディキシーと名づける。犬は、孤独なオパールの話し相手となり、彼女は、犬に導かれるようにして町の人々と出会い、心を通わせ合う。その過程でオパールは成長し、父親の心の傷を理解して、親子の絆を取り戻す。

続きを読む


nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。